自動最適化されたランニングをアニメーションで見てみる。
以下の記事では、速度を増加させたときのランニングの変化を数字によって示しました。この記事では、改めてアニメーションによってランニングの変化を視覚的に表現してみます。耐衝撃時間の組み込みはどんな変化をもたらしたのでしょうか。
アニメーション
速度の小さい方から見ていきます。
1.5 m/s
まずは、普通の早歩きです。重心の上下動がありません。また、滞空も実質的にゼロです。
2.1 m/s
スイッチング領域の直前です。1.5 m/sのときと印象はほぼ変わりません。重心の上下動がなく、滞空時間もないように見えます。ただ、ストライドが大きくなり、それがゆえに速度が増加しただけです。
2.3 m/s
スイッチング領域の直後です。速度としては10%弱の変化率ですが、2.1 m/sのときと全く異なる動きとなります。上下動が大きく、滞空時間があります。ストライドを無理やり小さくしながらも、明確に走っています。シミュレーション上で変更したのは、平均速度Vだけです。ストライド、ピッチ、滞空時間、オフセット、体重移動距離は、自動的に最適化されています。ウォーキングからランニングへの切り替えの指示というのは一切ありませんが、このように、動きが大々的に変わるのです。
3.0 m/s
軽めのランニングと言った印象です。重心の上下動がはっきりとわかります。着地後に、突然に重心が上昇し始めるのではなく、滑らかに上昇に転じるようになっています。体重移動と耐衝撃時間の組み込みによるものです。
4.0 m/s
十分に速度のあるランニングです。跳躍を繰り返して進んでいるようにも見えます。ただし、この走りも重力ランニングのルールから導き出された結論なのです。すなわち、地面を蹴るという動作は一切含まれていません。滞空は地面を蹴ることによって生まれるのではなく、接地区間において、身体重心の前進運動の慣性と、重心の高さを最低限回復させる動きによって、結果的に起こっているだけなのです。
5.0 m/s
速度が増加して、ストライドが拡大し、ますます跳躍しているように見えます。しかし、地面を蹴っているのではないのは、4.0 m/sのときと変わりません。
まとめ
どうでしたでしょうか。耐衝撃時間を組み込んだことにより大きな変化はありませんでした。その中で、私の感想は以下の通りです。
- スイッチング領域の前後におけるウォーキングからランニングへの動きの違いがより鮮明になった。
- ピッチが減少し、ストライドが増加したことにより、跳躍しているという印象が強くなった。
アニメーションにすることにより、自分のシミュレーションの結果を具体化することができます。それらを見てみると、現実の人間のランニングと何ら変わりがあるようには見えないのです。つまり、見た目では蹴っているか、蹴っていないかはわからないのです。よって、ランニングの技術は走って見せても伝わらないのです。このことから、その背後にある物理を学ぶ必要性がお分かり頂けると思います。