厚底シューズを履いた瞬間、脚が勝手に前へ進み始めた
今日、初めていわゆるカーボン入りのシューズを履いて走ってみました。購入したのは、アシックスのメタスピードエッジトーキョーです。

出典:https://www.supersports.com/ja-jp/xebio/products/A-10887918401/
きっかけとなったのは、ハリー杉山さんの動画でした。彼が今シーズンに自己ベストを二度も更新した中で、このシューズを強く推していたことが印象に残り、試してみようと思ったのです。厚底シューズをいろいろと探してみましたが、明確にピッチ走法とストライド走法を分けて、製品を開発していたのはアシックスだけでした。私の走りは間違いなくピッチ走法ですので、ピッチ走法のために作られたメタスピードエッジトーキョーを買うしかないと判断しました。
履いて歩いてみると、まず感じたのは強い不安定感でした。着地するたびに足が跳ね返され、まるでバネの上を歩いているような感覚です。従来のシューズと比べて地面への接地感が薄く、「この不安定さで本当に走れるのだろうか」という不安がよぎりました。
ところが、実際に走り出してみると、不思議な感覚に包まれました。よく言われる「勝手に脚が進む」という表現が、確かに腑に落ちるのです。ふわふわとした浮遊感があり、着地のたびにミシミシという音がします。この音には聞き覚えがあり、過去のレースで並走していたランナーがこのシューズを履いていたのだと気づきました。
検証
本当に速くなるのか、データで検証してみます。今日(2026/1/9)走ったのは、平日の昼にいつも走っているコースで、天候もほぼ同じ。従来のワークマンのシューズで走った直近2回と比較すれば、シューズの効果を高い精度で推定できます。比較対象は3日前(1/6)と昨日(1/8)のランニングです。
平均速度
最も重要なのは平均速度です。3日前と比べて1kmあたり8秒、前日と比べても4秒速くなっています。間を取って、1kmあたり6秒の改善と考えることにします。1kmで6秒の差は大きく、5kmなら30秒の差がつく計算です。
最高速度
コースの最後の400mは、スピードを上げて走る区間です。目的は高速走行の感覚を忘れないためで、目標は1km3分。ただし実際に3分を切れるのは追い風のときだけで、普段は3分5〜10秒程度です。3日前は3分16秒、昨日は2分57秒でした。そして今日は2分59秒。それほど追い込んだつもりはなかったのに3分を切っていましたのが意外で、明らかにシューズの違いを感じました。
速度を上げるほど着地衝撃は強くなり、その衝撃が「速さの実感」につながります。しかし、衝撃が強すぎると身体が守りに入り、それが限界のサインになります。今日はその恐怖感が薄く、ピッチとストライドの感覚から「1km3分に近い速度だろう」と思いながらも、脚に感じる衝撃が弱かったのです。つまり、まだ余裕を残しているような感覚がありました。
データ比較
| 日付 | 2026/1/6 | 2026/1/8 | 2026/1/9 |
|---|---|---|---|
| シューズ | ワークマン | ワークマン | メタスピード |
| 距離 / km | 5.4 | 5.4 | 5.4 |
| 平均心拍 / bpm | 137 | 139 | 140 |
| 平均ペース / [分/km] | 4:23 | 4:19 | 4:15 |
| 最高ペース / [分/km] | 3:16 | 2:57 | 2:59 |
| 平均ピッチ / spm | 197 | 197 | 194 |
| 平均ストライド / m | 1.15 | 1.17 | 1.22 |
| 平均上下動比 | 6.8% | 6.7% | 6.7% |
| 平均上下動 / cm | 7.7 | 7.8 | 8.1 |
| 平均接地時間 / ms | 209 | 208 | 208 |
この表のデータを良く見ると、メタスピードで速くなる理由が見えてきます。私が最も注目したのはストライドの伸びです。意識して伸ばしたわけではないのに、自然と伸びていました。それに伴い上下動も8.1cmと増えていますが、上下動比は変わっていません。つまり、上下動が増えた分だけ効率よくストライドに変換されているということです。バネ定数が小さく、反発弾性率の高いソールのおかげで、着地衝撃を緩和しつつ、着地エネルギーが跳躍エネルギーとして再利用されているのだと考えます。
走っている感覚としては、最高速度の項でも述べたように、脚に感じる衝撃が小さいため、自分がゆっくり走っているような錯覚を覚えます。ただし、エネルギー消費が減っているわけではなく、心拍数は従来と変わりません。しかし、衝撃が小さい分だけ余裕が生まれ、この効果は長距離では脚の疲労軽減として現れると考えます。
メタスピードによって記録が出やすくなるのは事実だと感じました。今後のレースでは記録を狙う際にメタスピードを履くことにします。一方で、練習では従来通りワークマンのシューズを使うつもりです。着地に関わる筋力の低下を避けるためです。



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