サブスリー未遂の科学──35kmの壁に2度ぶつかってわかった事実
1ヵ月のうちに2回のフルマラソンを走りました。それぞれに検証項目を設定して臨みましたが、勝田全国マラソンだけでは見えなかったことが、柏の葉パークマラソンを走ったことで明確になった点があります。
フォーム
| 指標 | 勝田全国マラソン(2026/01/25) | 柏の葉パークマラソン(2026/02/11) |
| ピッチ | 195 spm | 198 spm |
| ストライド | 1.16 m | 1.16 m |
| 接地時間 | 212 ms | 209 ms |
フォームは両レースともほぼ同じですが、柏の葉ではピッチがわずかに大きくなっていました。ピッチ×ストライド=スピードの公式に当てはめると、以下のようになります。
- 勝田:4分25秒25
- 柏の葉:4分21秒23
フォームが変わったわけではないのに、柏の葉でのスピードアップ分がすべてピッチによるものだった点は非常に興味深いところです。
心拍
| 指標 | 勝田全国マラソン(2026/01/25) | 柏の葉パークマラソン(2026/02/11) |
| 平均心拍 | 142 bpm | 143 bpm |
| 最大心拍 | 172 bpm | 152 bpm |
平均心拍を見ると、こちらも両レースでほぼ同じです。柏の葉の方がわずかに高いと言えるかどうか、という程度です。
問題は、この平均心拍が「にこにこペース」であるか、それ以上であるかという点です。勝田の後は、この心拍数はにこにこペースであると判断し、失速の原因をエネルギー補給不足と考えていました。体感としては十分に余裕があり、呼吸も苦しくなく、水やゼリーも問題なく摂取できていたからです。
しかし、柏の葉でもほぼ同じ心拍数で走りながら同様に失速したことから、この心拍数は高すぎるという結論を出さざるを得ません。
タイム

柏の葉パークマラソンは平坦なコースであるため、ハーフまではサブスリーペースで走り切りました。この前半の貯金が、勝田との違いでした。勝田では5kmごとの区間で一度もサブスリーペースに届きませんでしたが、柏の葉では5km~25kmの4区間でサブスリーペースを上回りました。その意味で、サブスリー達成がどのようなものかを途中まで体感できたと言えます。ただし、35km以降の失速は勝田と酷似していました。前半の貯金を崩しながらも為す術がなく、勝田よりは早くゴールできるかもしれないと思いながら走りました。ランナーとしての力はほぼ変わっておらず、ただコースが平坦で風がなかったという条件の違いだけで、ゴールタイムが縮まったということです。
失速の原因
2つのレースを通じて、エネルギー補給量が足りなかったから失速したわけではないという結論に至りました。勝田ではエナジージェル5本に加え、私設エイドでもカロリーを摂取していました。柏の葉ではさらに上乗せして補給しています。ランニング本を改めて読み返しても、レース中のエネルギー摂取を増やすことで失速を回避できるとは書かれていません。ただし、エネルギー補給自体は推奨されており、エナジージェルは3本で足りるという記述もあります。エリートランナーが足りると言っているのですから、私にとって足りないわけがありません。私は実感しないと納得しない性格なので後悔はありませんが、事実として理解できました。
失速の原因は、一言で言えば「走力の不足」です。
現在の走力では、サブスリーペースがにこにこペースを超えてしまいます。すると、まず糖代謝に偏った走りになり、次に消化に回す血液量が減ります。この2つの作用が重なり、30km以降に失速するという仮説です。サブスリーが近いだけに「頑張れば何とかなる」と考えてしまい、同じ轍を踏んでいるのです。
したがって、次の検証は「スピードを落として走れば失速せずに走り切れるか」です。
私自身が紹介した小出監督の著書『30キロ過ぎで一番速く走るマラソン』の内容を、本当には理解していなかったのだと気づきました。今回、35kmまではサブスリーペースで来ていましたが、35km以降で4分41秒を失いました。
もし5km~30kmまでを1kmあたり10秒遅く走れば、5分遅くなります。そこから小出監督の言う通りサブスリーペースで走れるのであれば、柏の葉とほぼ同じ記録が出る計算です。1kmあたり10秒遅く走るということは、柏の葉の周回コースで1周ごとに30秒の差が開きます。距離にして117m。陸上競技場の1/4周に相当し、メインストレッチ(約80m)の1.5倍ほどです。それが1周ごとに開くのです。それほどゆっくり走っても同じくらいのゴールタイムになるほど、35km以降の失速の影響が大きいということです。失速しないで走る方が有利だと感じ始めています。
柏の葉公園で、1kmあたり10秒遅く走ってどうなるか(失速を避けられるか)を確認するのは、今以上にトレーニングを積まなくても実行できます。むしろ、実力が変わらないうちに試した方が好都合です。つまり、今シーズン中に検証します。
仮にそれに成功したとしても、スピードを落とすわけですからサブスリーは達成できません。結局は、走力をどのように向上させるかという課題が残ります。走力とは、にこにこペースのまま1km4分15秒より速く延々と走り続ける能力です。それは来シーズンに向けた課題とします。

