重力ランニングの3つの原則:重力を味方につけるランニング理論
重力ランニングの理論を作り上げていく上で、私が原則と考えているものが3つあります。それを紹介します。具体的な理論を組み上げていく際に、進むべき方向性が複数あるときがあります。そのようなときは、これらの原則に則って判断していきます。
- 重力ランニングの理論には3つの原則がある。第一に、重力が主たる力で、筋力はそれを利用する二次的な役割を果たすこと、第二に、限られた筋力を効率的に使い、負荷を分散させること、第三に、筋力の作用線は必ず重心を通り、重力と反対向きに働くことである。これらの原則に基づき、ランニングの進むべき方向性を判断する。
重力主導の原則
重力ランニングの最も根源的な原則です。従来のランニングの概念は、全身の筋力を使って、身体を運ぶというものです。しかし、重力ランニングにおいては、重力こそが主たる力であり、筋力は重力を利用するための二次的な作用である、と考えています。例え、筋力が、重力と同時に作用しているように見えたとしても、ミクロに見て、重力による位置エネルギーを運動エネルギーに変換した後に、位置エネルギーを筋力で回復させているプロセスと理解します。
負荷分散の原則
重力を利用するとしても、それを利用するためには筋力を利用しなければなりません。しかし、人間の筋力には限りがある。限りある筋力をどれだけ効率的に使えるか、が次の原則です。重力は地球上で常に安定しています。重力加速度は一定と言って良いでしょう。そうであれば、筋力で行うべきことはできるだけ多くの位置エネルギーを稼ぐことです。その際には、筋力の出力をできるだけ平準化し、ピークを低くするべきと考えます。数多くの荷物を運ぶとき、運べる荷物の総重量を最大化するなら、荷物はゆっくり運ぶべきです。その方が、筋力を消耗しきるまでに運べる荷物の総重量は大きくなります。逆に言えば、強い力を発揮するほどに筋力を消費します。
また、複数の筋肉や関節の関係においては、1つの筋肉や関節への負荷の集中を避け、できるだけ均等に使うべきです。ランニングという動作においても、脚だけでなく、腕は当然のこと、胴体の深層筋まで含めて、全身をくまなく使い、負荷を分散します。必然的に身体の右半身と左半身は対称の動きとなるのが理想です。
重心作用線の原則
3つ目の原則は、少しわかりにくいかも知れません。文字で書くと、重力ランニングにおける、筋力の作用線は必ず重心を通り、重力と反対向きに作用する、ということです。重力ランニングにおける筋力の役割は、重心の位置エネルギーを回復させることです。したがって、この原則が導かれます。
真っすぐに立っている状態であれば、身体の軸は垂直ですから、つまり、垂直方向に上向き作用することになります。身体を前方に角度θで傾ければ、作用線が同様に傾きますが、必ず、重心を通り、作用する方向は重力と反対ですから、斜め上向きとなります。
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